お昼を食べてからなみきち方南町に来ています。
阿佐ヶ谷から方南町に行くには電車だとちょっと不便なんで今日はバス移動です。
というわけで、今日は久しぶりにしっぽを挟まれることなく移動できて、快適モードでのお仕事です。
うーん、いつも電車ばっか乗ってるけどバスもいいなあ。
今日はしっぽの毛の立ちあがり具合もいつもに比べていい気がする。
午後の商談に向けて、しっぽに櫛を通しながら形を整えます。
おっし、今日の感じならアライグマに間違われることはないだろう。
ということで環七沿いをせっこせっこ歩きながら商談場所に向かいます。
そういえばこのあたりはその昔、熾烈な戦争が起こった場所でもありました。
方南町のあたりを歩いていると、「夏草や兵どもが夢の跡」という芭蕉の句が自然と口をついて出てきます。
まさにそんな感じで今も車通りは多いとはいえ、あまり昔の面影は見なくなりました。
多くの兵どもがこのあたりでも熾烈な戦いに身を賭していたんですがね。
そうそう、なみきちこの句を思い出すと同時にもうひとつ詩が頭に浮かぶんですがなんでなんすかね。
「国破れて山河あり城春にして草木深し」って知ってますか?
杜甫の春望でしたっけ?
なんかこの詩も、戦いが去って穏やかではあっても昔の栄華をどことなく思い出させてくれる、なんとも郷愁を誘う句ですよね。
そんなこんなで歩いていると商談場所につきました。
立ち上がって名刺交換すると、「あ、なみきちさんはタヌキさんでいらっしゃいましたか」ですって。
なんだと思ってたんですかね。
ほかに何に見えるってんですか!今日はしっぽの調子もいいのに。
でもまあ今日のお客さん長いこと杉並住まいらしく、なみきちと共通の話題が結構あって、楽しいアイスブレイクになりましたよ。
もう先ほどの失言はなみきち完全に水に流すことにしましたよ。
というわけで、アイスブレイク中に昔の戦争の話になったわけです。
このあたりの戦争の熾烈さについてかなり詳しくご存じの様子でなみきちも真剣に耳を傾けましたよ。
ことの発端は1987年ごろと言われています。
環七沿いに「なんでんかんでん」と「土佐っ子」という二店舗が台頭。
「なんでんかんでん」は豚骨を思いっきり効かせた博多ラーメンの東京進出。
そして「土佐っ子」は背脂チャッチャ系という新ジャンルを始め、一気に戦線の火ぶたが切って落とされます。
ついに歴史上もっとも有名なラーメン戦争、環七ラーメン戦争の幕開けです。
全盛期には環七沿いに100以上のラーメン屋がひしめき合い、戦争は熾烈さを増していきます。
しかし、この戦争はラーメン店同士だけでしのぎを削ったわけではありません。
これまでになかった過激なまでに甘美な中毒性を備えたラーメンは時代の若者たちを大いに引き寄せることになる。
メディアへの露出もあり、深夜まで環七沿いににはラーメン店への行列が絶えない。
そして若者たちは車で人気ラーメン店へ押し寄せたのである。
店舗付近には違法駐車の列ができ、その行列に気を取られさらに渋滞が発生。
ただでさえ交通量の多い環七に、ラーメン屋を起因とする渋滞が発生。数件の事故も発生する。
さらに地元住民もプラカードを持ち、地元警察と共同して監視の目を強めていく。
この環七ラーメン戦争はラーメン店同士のしのぎを削る争いだけでなく、地域住民や警察をも巻き込んだ一大戦争として人々の記憶に強く刻まれることとなったのだ。
という話を熱弁されましてね。
結構なアイスブレイクになりましたね。
ね、勉強になったでしょ。
もうアイスなんか完全にブレイクしちゃってどっろどろになってから商談をしたので、なみきちが外に出たころにはもう真っ暗。
さて、何食べて帰ろう。
環七沿いをとぼとぼと歩いていると、まあまだまだ環七沿いはラーメン店が結構あるんですね。
「兵どもが夢の跡」とか言っちゃいましたけど。
失礼なこと言っちゃったな。ごめんなさい。
往時ほどではないにしろ、まだ70店舗ほどはひしめいているようです。
まだ環七沿いも激戦区といえますね。
ということで歩いていたら心惹かれるお店が一件。
「熊本ラーメン 九千坊」。提灯がいい味出してますねー。
ラーメン戦争も発端の一つはなんでんかんでんという九州ラーメンでしたよね。
そのDNAがまだこの地に生きている。
あの話を聞いた後じゃあ、このお店入らないわけにはいかないでしょう。
よっしゃ!今日の夕飯は熊本ラーメンだ!
意気揚々と藍のの連をくぐります。
店内は予想通り豚骨の香りがしており、先客3-4名がおいしそうなラーメンをすすっています。
こちらのお店「九千坊」さんは、丸の内分岐線方南町駅3a出口より、環七を神田川方面に向けてなみきちの足で12-3分、皆さんの足だと5-6分といったところにあります。
京王線の代田橋からだと環七を北上する感じですね。
環七沿いにあり、まさに環七ラーメンの一店です。
九千坊さんのメニューです。
どれもリーズナブルなお値段でうれしいですね。
九州といえば高菜、高菜といえば九州。
ということで「高菜ラーメン」に「きくらげ」をトッピングして注文します。
環七ラーメン戦争の話が長くてだいぶお腹すいてるので、「チャーハン」も頼んじゃいましょう。
そして、もう夜ですからね、この後の仕事はな~し♪
ということで黄金色のしゅわしゅわのやつもいっちゃいます。
黄金色しゅわしゅわがあるんなら、お友達も必要ということで「手作り餃子」と「おつまみネギチャーシュー」も頼んじゃいます。
おほ~、豪勢な夕食になりましたな。
今日は環七ラーメン戦争に思いをはせながらゆっくりとこの熊本ラーメンを味わっていきたいと思います。
まずはこの子からやってきました。黄金色しゅわしゅわちゃんです。
よっしゃ、うまく注げた。おいしそう!というわけで今日も一日お疲れ様でした~。
ぷはーっ、うまーい!
赤星も好きですケド、スーパードライはやっぱり安定の味ですね。
きりっとした爽快感が残ります。
そしておつまみネギチャーシュー!
これはおいしそう!たっぷりのチャーシューにねぎが和えてあります。
これは最高のおつまみですね。
一口…うん!チャーシューが厚い!そしてやわらかい!もうとろとろです。
白ネギのしゃきしゃき感、青ネギのネギ臭さがチャーシューの肉の香りを引き立たせていておいしい!
チャーシューのとろとろに対してのネギのしゃきしゃき、いいですねえ。
なみきちは食感のコントラストも大好きなんですよ。
ねぎの後味が口に残ったところで、ビールをきゅーっ!
うーん、これは最高!
おっ!餃子も来ました!
でかい!そしてパンパンに餡がつまっている!
これもおいしそうです!
あっつっつとはふはふしながら食べる餃子は、これはうまいですぞ!
ニンニクがしっかり効いている!ガツンとパンチがあります!そして皮のパリ感がすばらしい!
この餃子の皮がパリッと揚がってるとテンション上がりますよねー!
ニンニクが餃子の餡と皮の味を濃厚なものに仕上げて、それをスーパードライですっと綺麗に洗い流す。
ああ、幸せだなあ。
そしてチャーハンもやってきました。
チャーハンもぱらっとした仕上がりでおいしそうです。
本日の真打登場です。
高菜ラーメンきくらげトッピングさんです!
うーん、とんこつの香りが豊かで…ん!?この香りはなんだろう??
焦がしニンニク??いや、ゴマ油??
聞いたところによるとマー油というにんにくを焦がしてごま油と混ぜたものらしいです。
この香りがとっても香ばしい。
豚骨ラーメンの香りと相まってめちゃめちゃ食欲をそそります。
ではスープから一口。
白濁したスープからは豚骨の香り。どんな世界が待ち受けているのだろうとずずっとすすると。
お、おお。とんこつなのに全然しつこくない。
思った以上にあっさりとしていて、やさしい、やわらかい。
これは母の愛、慈愛といった感じのスープです。
これはおいしい。どんどん飲めてしまう。
まてよ、このスープはもしかして…チャーハンと一緒にいただきます。
ああっ!これは間違いのないやつだ!これはチャーハンと一緒に食べるべくして開発されたものだ。
では麺きちなみきち、麺も食らってみます。
まずはリフトアップ。中細の直麺ですかね。博多よりは若干太い感じがします。
ずずっとすすると、あー、おいしい。
固めの茹で加減。歯ごたえがもちっぶつっという感じでなんだかとってもおいしい。
そして高菜の香り、ピリッとした辛みがめちゃくちゃいいアクセントになります。
やさしい慈愛のスープの中に、うまさとあまみを引き立てる辛み。
これは高菜入れた方がおいしいですね。
お汁粉にちょっとお塩を入れると一層甘味が引き立つように、九千坊さんのラーメンに高菜を入れると旨味と香りが引き立つ。
慈愛で心が癒され、高菜のアクセントで舌と胃も満足させられる、ダブル役満のラーメンですな!
あっという間に平らげ、目の前にある器はまさに兵どもが夢の跡。
あ、そうそう、さっき芭蕉の句を言うと、同時に杜甫の詩も思い出すっていう話しましたよね。
さっき環七ラーメン戦争のお客さんが教えてくれたんですが、芭蕉は「夏草や…」の歌を杜甫の詩から引用して作ったんですって?
知ってました?みなさん。
なみきちは今日初めて知りましたよ。
学校で習うはずだってお客さん言ってましたけど、記憶にあります??
なみきちの学校では教えてなかったと思いますねー。
そりゃ、セットで思い出しますよね。杜甫の詩からインスピレーション受けて作ってんですからね。
ということでなみきちは今日も大満足の夕食をいただきました!ごちそうさまでした。
さて、恒例のなみきち四字熟語たーいむ!!
今回なみきちが僭越ながら「熊本ラーメン 九千坊」さんにつけさせていただいた四字熟語は、
「豊味熊秀(ほうみゆうしゅう)」です!
熊本の豊かな味の恵みを秀逸に楽しませてくれる様、またその様子。—なみきち大辞典。
「熊」という感じは「ゆう」とも読めるんですね。
なみきち初めて知りました。また一つ賢くなってしまった。
まさにこちらのお店、秀逸な熊本の味を豊かに楽しめるんです。
あの戦争の後も激戦区に残り続けているこちらのお店、その理由を十分に堪能できました!
ふぅ、またなみきちは心から皆さんにおすすめできるお店と出会ってしまいました。
さあて、帰りもバスで帰ろうっと。
店舗名:九千坊
営業時間:11:30~14:00、19:00~23:00
定休日:水
住所:東京都杉並区和泉4-40-28